何であんなこと…
俺じゃない誰かになんかするなんて。
俺らが偶然、酔っ払いの喧嘩を止めたら、その酔っ払いに礼として貰った金。
それと、飯も奢ってくれた。
何気に俺も浮かれて、はしゃいではいたけど…
その飯を皆でがっついて、笑いあって…
そんな中で。
日向とツッチーがくっついて飯食ってて…
それだけなら良い。
まだ良い。
だけどそれだけじゃ終わらなくて。
ツッチーが食べた物を、日向の口に持って行って食べさせて。
これって…
これって、間接キスだよね…?何で俺以外の奴になんか…
日向のことが嫌いなわけじゃないけど…
けど、俺とツッチーは一応付き合ってるわけだし…
なのに、俺以外の奴にあんなに甘くするだなんて…
俺だって人前であんなに甘くなんてされたことはないのに。
日向に甘くしていたのは、今日だけじゃない。
前にツッチーが面接を受けに行った日。
日向がツッチーに抱き着いて、『寂しかった』って言えば、ツッチーも応えるように返事するし…
なんで…なんで日向にばっかり甘くするんだよ…
ねぇ…ツッチーって本当は日向のことが好きだったの…?だって、普段俺にさえ見せない態度も日向にはしてみせるし…
俺はツッチーの何なんだよ…
周りから見れば、ツッチーと日向が付き合ってるみたいじゃんか。
本当の恋人は俺なのに。
ツッチーは俺の恋人なのに…
帰り道。
方向が違う三人と別れ、ツッチーと二人きりになる。
ツッチーは背が高いから、俺はツッチーを見上げる形になってしまう。
大きな身体。
長い腕。
その腕で日向も抱いたの…?
嫌だ…
そんなこと考えたくないのに…
嫌だ…
嫌だ
嫌だ
イヤダ…
『…ツッチー…』