俺はキミを憎んでいる訳ではないから。

愛し過ぎて
憎いのかもしれないけれど…

愛しているだなんて吐けば、崩れてしまいそうだから。
傷付けるのはこんなにもたやすいのに
想いを表現するだなんて

俺には出来ないから…



『好きだよ…タケ…』

まるで蟲の溜息のような
掠れそうな程の、声。

キミの耳には届いていたのだろうか?
キミは俯いたまま、顔を上げる様子はなくて…

あぁ、きっと聞こえてなんかいないんだ。

それに俺は何故か安心していた。

好きだなんて伝えたら
俺は壊れてしまいそうだからだから、こんな想いなんか、消えてしまえば良い。

我が身が壊れるくらいなら
この想いを崩して
ボロボロになってしまえば良い。

キミの前から消えられれば
何て楽なのだろう。

けどソレが出来ないから

俺は弱くて
卑怯で
臆病で

それでいて

キミが好きで



『…ごめんな…』

そう小さく呟いて

その場を去ろうとした。

けど



『ツッチー…』

キミの呼ぶ声が聞こえて。

振り返ればキミは、俺のすぐ後ろにいて
制服の袖で涙を拭って
片手で俺の服の裾を掴んで
俺を見上げていた。『タケ…』

『逃げんな…っ』

明らかにキミの声は震えていて
目も真っ赤になって
それでも声を振り絞って
俺をじっと見つめて…

この場を去ろうとした俺を引き止めて

消そうとしたキミへの想いが
また込み上げてきて…

『こんなことしておいて…逃げんな…っ』

キミの大きな瞳からは、また涙が流れていて

『ごめん…』

謝っても済まないことは解っているけど

『責任…とってもらうから…っ』

そう言って、キミは俯いた。

…責任?

責任っつったら、俺ん中では勝手に変な解釈しちまって…『どういうことだよ…?』

『聞くな…っ』

キミは顔を伏せて

良いの?勝手に解釈しても。

でも…

『タケの口から聞きたいし…』

一度で良いから

夢でも良いから
一時だけでも



夢に溺れさせて。

キミに溺れさせて。



『だから…』

頬を紅潮させて

どうしてこんなにも愛おしいんだろう。

キミにそんなことを言える強さがないのは、俺が良く知っているから

だから…ね?

その姿だけで

俺は充分だから…

□■□
謎の終わり方…;
黒いの最初だけかよ!(死
感想お待ちしています;

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