何時もと同じように与えられる、薬。

ソレを何の躊躇いもなく、飲み干している自分。

自分の身体が薬に支配されてるのかと思うと、吐き気がする。

けど、もう何も吐き出すものなどない。

全て吐き尽くした。

胃液すら、吐き尽くした。

 

いっそのこと、死んでしまえればどのくらい楽だろう、とも思った。

思っても実行に移すことのできない自分にも、吐き気がした。

 

俺の金の瞳が、俺を嘲笑っている。

頭の中で問いかけてくる、声。

ソレが自分なのか、他人なのかも解りはしない。

ただ、脳裏に焼き付いている男の後ろ姿。

俺をこんな身体にした張本人。

過去の記憶すら掻き消されて、何も思い出せない。思い出したくない。

この男が耳元で囁く言葉の所為で、俺は何もかも忘れてしまった。

 

全て、全て…。

 

 

 

 

 

機械人形

 

 

 

 

 

また今日も、喉の奥まで指を差し込んだ。

薬の所為で、気持ちが悪いから。

けど、出てくるものなど何もない。

だって、全て吐き尽くしているのだから。

ただ自分が咳き込んで苦しくなるだけで。

 

嗚咽が止まらない。

 

何故かは解らないけど、妙に悲しくなる。

 

全て俺は解らなくなってしまうのかな…?

 

もう二度と、目覚めなければいいのに。

 

そうすれば、もうきっと何も忘れなくて済むのだろう、と思ったから。

 

…世界は、そんなに簡単に出来てはいないのだろうけど。

 

糸に縛られたままの俺は、抜け出す方法を知らなかった。

いや、考えようともしなかった。

 

届かない空へ何度も手を伸ばし続け、いつかは届くだろうと信じて。

 

 

 

忘れないで

忘れないよ

忘れるもんか

 

 

 

何もかも忘れたって、二人のことはずっと覚えているから。

 

 

 

ただただ、手を伸ばしているだけじゃないから。

 

忘れないように、空に二人を浮かべたまま

 

俺は、深い眠りについた。

 

 

 

…あぁ、俺はただ、自由になれる翼が欲しかった…。

 

 

 

 

 

あとがき

はい、初短編です(何)

…落ちてません、はい(死)

シャニ視点のよくわからん話(…)

文才がほしいわ;本当;;

お目汚しでした;

2004.10.01 柊 藍司

 

 

 

 

 

 

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