次の日の朝。
珍しく、母親が俺の部屋に入ってきた。
もうすぐ、仕事の時間だというのに。
だけど特に俺は気にせず、彼女の方へと目を向ける。
彼女は俺を見て、女々しいものを見るように、見下した目をしていた。
きっと、『男のくせに、しかもこんな成長した奴が、子供のようにくまのぬいぐるみなんかを抱いて、女々しすぎる』とでも思っているのだろう。
それでも、俺は別に構わないのだけど。
初めて誰かに貰った物だし、自分でも結構気に入っていたし、それでいいと思ったから。
そのまま黙って彼女を見ていると、彼女は重そうな口を開いた。
『今日はお前に客人が来るから、お前は客人を居間で待っていろ』というものだった。
俺はその通りに、テーブルの付属の椅子に座り、くまを抱いたままの格好で、ただ足をぶらつかせていた。
その姿を見た彼女は家を出、すぐに仕事へと向かった。
相変わらず家にいても、面白いことなんてないが、いつも通りにくまにじゃれついていた。
自分の部屋とは違う空気だから、あまり落ち着かなかったけど、客人を待たなければいけないから、仕方なく我慢した。
何時間経っても客人が来ないから、段々と眠気も出てきた。
でも、客人が来ると言われているのだから、眠気を耐えた。
暫く経つと、部屋中にチャイムが鳴り響いた。
静寂を裂く、チャイムの音。
客人が来たのだろう。
俺はくまを抱きしめたまま、玄関のドアまで駆け寄った。
今ではもう、覗き窓に背が届くから、覗き窓の向こうがよく見える。
ドアの向こうには、真っ黒なスーツを着た、体つきの良い男が二人、立っていた。
俺の中の、“彼かもしれない”という期待が、すぐに壊れていった。
あとがき
ついに3です…
またもや短い;;
更新早くできるようになりたい…いつも言ってますが;
まぁそれほど早くしたいので;;
ついに次回アズ登場か?(笑)
しかも黒服の男ってベタですよね;;
お目汚しでした;
2004.10.06 柊 藍司