目を背け続けた。
彼女、消えてしまいそうな子。
手を離したら、きっと消える。
そして僕も、消える。
僕が居ないと、明日が見えない。
己惚れかも知れない。
けど、彼女がそういうのだから。
だからそうなのだと、思った。
手首の傷は、7ヶ所。
お馬鹿さんね、彼女も、僕も。
彼女の腕に、また一つ、傷が増えるのだろうか?
鳴り止まない携帯。
彼女から。
でも、僕はソレを受けることが出来なかった。
僕の喉には、チューブが通されていて、話すことも出来ない。
ベッドの上から、数日、動けなかった。
またこんな日々が続いたら、
僕を切り裂いてくれたって構わない。
その後に彼女が、絶つことには変わりないことなのだから。
あとがき
ぇー…実を言うとほぼ実話です。はい。
今でも携帯が鳴り止むことはありません。
鳴らなくなれば、彼女が消えたという知らせでしょう。
…届いてくれていれば良いのにね、動けなくとも。
2004.09.19 柊 藍司