雪の季節に見た君は
その風景に良く似合った姿で。

白い肌に、真っ白なコートを着て
赤いマフラーが、良く映えていた。



季節は変わって、蝉の鳴く頃。
綺麗な紺色の浴衣で、君は微笑んだ。

『雄ちゃん、ボーっとしてどうしたの?』

俺の顔を覗き込みながら、クスッと笑う君。



恋人の名前は竜也。



男のくせに、女の子みたいな顔して、か細くて。
今日なんか浴衣なんて着ちゃって、見ず知らずの人が見たら普通の女の子にしか見えなくて。

『竜ちゃんが綺麗すぎるから、見とれてた』

そう言えば、竜也は照れたように笑った。

『雄ちゃんは格好良いよ』

そう微笑むから、俺もつられて笑った。





ゆびきり





『金魚掬い…やりたいな』

竜也がポツリと呟いた。

『金魚掬いで掬った金魚ってね、案外長生きするんだよ?』

そうやって楽しそうに話すから

『じゃ、一回だけな?』

『ん、ありがと…雄ちゃん』

無邪気に微笑んで、浴衣の袖を捲る姿が、愛しくて。

水に浸した部分の紙が、少しずつ色を変えていく。

紙の上に上げられた金魚が、紙の上で跳ねて紙が破れ、金魚が再び水の中へ還る。

『あーあ、破れちゃったぁ』

竜也は紙の破れた部分を覗き込み、がっくりと肩を落とす。

『はいはい、俺がとってやるから』

そうやって頬を膨れさせて…本当に可愛い。

『俺がとりたかったのにぃ…』

ふて腐れた姿も可愛くて、愛しくて。

俺は服の袖を捲って、竜也と同じように金魚救いに望んだ。

金魚を紙の上にのせ、破れないように器へと移す。

『雄ちゃん…何か上手くない?』

『んー…そう?』

そう言いながらも、竜也に良いトコを見せれて、内面浮かれちゃってたりして…。

結局、2匹掬った後に紙が破れ、互いに1匹ずつ育てることにして。

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